上野のセクキャバ嬢に癒やされた65歳男の話

月が見える夜
「いらっしゃいませ」
上野駅徒歩3分のセクキャバ店に着くと、黒服の男性が私を出迎えてくれた。

「初めてなのですが」
「当店指名制となっておりますので、ご希望の女の子をお申し付け下さいませ」
「この名刺の女の子を希望する」

涙で文字が滲んだ「トモコ」の名前が書いてある名刺を私は取り出した。
「かしこまりました。それでは席までご案内しますので、こちらへどうぞ」

私はミラーボールに照らされた薄暗い部屋に通された。
客1名に対し、ひとつひとつ仕切りで区切られた空間が用意されているようだ。

トモコという女性は、どんな性格の娘なのか。
私は気になる気持ちを抑えることができない。

トモコは黒髪で白い肌が印象的なセクキャバ嬢だった

「初めまして、トモコと申します」

トモコは身長は160cm程、スラッとした美人の女性だった。
黒髪に白い肌。亡くなった妻の朋子に少し雰囲気が似ている。

「私は佐藤と言います。友人が貴女の名刺を持っていて紹介してくれたので」
「あら、茂さんのご紹介なんですね。嬉しいです。こういったお店は初めていらっしゃるのですか?」

「はい。何から話していいのかもわからない不器用者ですが、どうかよろしく頼みます」

トモコは私が口下手なのを考慮してか、積極的に話しかけてくれた。
出身である広島の話、旅行が好きで名古屋城に行ってきた話。

私にも参加しやすい内容だったので、とても楽しく彼女の話に相づちを打つことができた。

上野のセクキャバとは、こんなにも楽しい場所なのか。
茂さんから話を聞いた時は、いささかセクキャバという場所を軽蔑していた私でしたが、トモコと話をしていると、そんな気持ちは、さらさら無くなったのであった。

朋子、若い時のお前と話しているようだよ。
私もたまにはこうして楽しい思いをしてもいいだろうか?

店の天井を見上げて、天国にいる朋子に心の中で語りかける私だった。

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